あれは、小学校の頃か記憶が曖昧なんだけれど、その頃の話。
その日、私が学校から帰宅したとき、家には誰もいなかった。
小腹が空いたので、戸棚を物色した私。
戸棚には、お茶菓子が置いてある時があるのだ。
その日、そこには”まがりせんべい”
おお、姉妹の大好物である。
ちなみに、まだ未開封。小袋で10袋ほど入っている。
一瞬迷ったが、食欲に勝てずに、開封。
しかし、どこかに、罪悪感があったのか、誰もいないのに
『まがりせんべい、食べるよ~。』
と、断りを入れる3女。
親が用意してあったものなら良いのだけれど、
もしかしてもしかしたら・・・長女か次女が用意したものかも知れない。
袋を開けると、ぷぅ~んと香ばしいまがりせんべいの香。
食欲をそそるってもの、ここまでくると止められない。
ばりばりぽりぽり。
も少し、食べたい気はしたのだけれど、我が家は、4姉妹。
10袋の内訳は、長女2、次女2、4女2、3女4と計算。
4袋で我慢した。というより、4袋完食したところで、
ハタと3女は、しまった、姉と妹の分が足りなくなると気がついた。
名残おしいが仕方がない。外袋を折、また、戸棚の中へしまう。
その後、眠くなってしまい、うたた寝した3女。
気がついたら、夕食、皆揃っている。
3女、すっかり戸棚の中のものの話を忘れていた。
あくる日、3女が学校から帰宅すると、その日も誰もいなかった。
小腹も空いている。吸い寄せられるように戸棚に向かう。
あった。昨日のまんまの状態だ。
しばし、迷う。
が、しかし、このままでは、しけてしまう。
開封したら、なるべる早く食べなければならない。
そんな理由を自分でつけ、再び食べ始めるまがりせんべい。
バリバリポリポリバリバリポリポリ
美味い、なんでこんなに美味いの?まがりせんべい。
あっと言う間に完食。
袋をゴミ箱に入れ、満足したらまた眠くなってきた。
『あ”-、まがりせんべいがない。誰か知らん?』
耳をつんざく長女の声に、3女、目を覚ます。
『んー、あ、まがりせんべいね、うちが食べたよ。』
寝ぼけ眼で、答える3女。長女が問う。
『食べたて、あんた、1袋あったやろ。』
『うん、あけちょらんのがあったよ。』3女が答える。
『で、どんげしたて?』トゲの感じられる口調で長女が更に問う。
『んじゃかい、食べたよ。』3女が答える。
『食べたて、あんた、全部?』段々熱を帯びて問う長女。
『うん、昨日4つで、今日6つ食べた。』3女が説明。
『しんじられーん。あれは、ねーちゃん(長女)が皆で食べようって用意しちょったとよ!』次女参戦。
『ごめん、食べた』3女謝る。
『信じられん、信じられん、全部食べる神経が信じられん。』長女怒る。
『皆でわけるっていう考えがないとか?それが信じられん。』次女怒る。
『じゃかいね、昨日は4つで我慢して残しちょったっけん、今日みたら、まだそのまんまやったかい、いっちゃろーって思て全部食べたとよ。』3女言い訳。
『昨日4つて、その時点で、おかしいやろ。4人おるっちゃかい。』痛いところをつく次女。
『じゃかい、ごめん。』謝る3女。
『信じられーん、本と信じられん。てげ、信じられん。』長女、次女。
その後、しばらく、口を聞いてもらえなかったのは言うまでもない。
戸棚の中には、魔物が住んでいる。