牛乳≒幼馴染
私の記憶の中では、こんな感じだ。(どんなんだ?)
こまさを心配をしてくれたおばちゃんのお子の幼馴染(男子)とは別の幼馴染。
そうそう、遅刻して一緒に正座をした彼女。
彼女と2人で、中学校からの帰宅途中に事故は起こった。
土曜日の昼下がり。
そこは、カーブの続く坂道だった。帰りは、スイスイ~の下りが続く。
めったに車の通らないその道では、ブレーキをなるべく握らずに
プリーツスカートをはためかせながら、爽快に下るのが常。
その日もそうだった。
坂の途中に彼女の家へ向かう入り口がある。
入り口近くになると、流石にブレーキをかけながら減速する。
が、ぼけていたのか?恋煩いか?
いつものポイントを高速のまま行ってしまった。
一瞬遅くハッと気づいたようで、いつもより強くブレーキをかけた彼女だったが
入り口はじゃり道。自転車は横滑り、バタっと彼女もろとも倒れた。
『だだだっ大丈夫?』
彼女をゆすったが返事がない。
脈はある。生きている。頭は、ヘルメット着用(彼女は真面目だ)なので
打ってはいないはず。
ふと、自転車をみると、荷台にくくりつけた革鞄から白い液体が流れ出しているではないか。
もしや?
あなた、まさか?この鞄の中に牛乳の紙パック入れてなかったですよね?
ドキドキしながら、彼女の様子を伺うと・・・
『いたい・・・。』
むくっと動いた。よかった。無事だ。
が、流れ出した白い液体が目にとまった瞬間。
また、気を失うふりをした。
『もしかして、牛乳?』
ボソッと私が、言うと、うつぶせのまま、彼女は小さくうなずいてみせた。