あんよね。

片面印刷チラシの裏みたいなもの。

昔、お題で書いたもの。(お題:あの日にかえれたら)

以前にもUPしてた記憶があるのですが、ちょっと見ても、なさそうなので再掲。

某SNSで、昔、共通のお題で日記を書く祭をしてた時のものです。

自分の発した言葉や行動、態度を後に振り返った時、

その人の未来に影響したかはわからないけれど、自分の中での心残りのようなものを

当時書いたもの。

 

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あの日にかえれたら


私は、彼に何か言葉をかけていただろうか。
彼の近況を何かの折に耳にするとふっと思うことがある。


私は、16歳だった。
彼は15歳。友達の弟。
友達と同じクラスだった私へ電話をかけてくるのは
弟だった。

『くろちゃん、おれおれ、わかる?』

またかと少しほほえましく思いつつも

『わからん、誰やろか?』

それから、一時、あーでもないこーでもないと話し、

『じゃあ、ねーちゃんに代わるわ』

と、本題に入るのが当たり前だった。
好きか嫌いかでいえば、好きだった。
しかし友達の弟、恋愛対象としては意識したこともなかった。


彼は、中学を卒業すると、専門学校へ進学していた。
が、時間を見計らっていたのか私と友達が通う高校へ、
放課後になると、現れていた。

あの日も、そうだった。
彼は、自転車通学をしていた私の自転車が置いてある
自転車小屋で待っていた。

『おぅ、くろちゃん、本屋まで乗せていって』

私の自転車の荷台に、いきなり乗る。

『ゴーゴー。』楽しそうにはしゃいでいる。

『こら、パンクするから降りて』

私は、あの日、苛々していた。
それでも、ずっと乗っている彼。

『いいかげんにして。』

私は、キツク言った。

『くろちゃん、そんなに嫌やったっちゃ、もう来んから。』


それっきり、彼は姿をみせなくなった。
電話もかけてこなくなった。
家にも寄り付かなくなったと、友達も言っていた。
胸の奥の方が、痛かった、本当は嫌じゃなかったから。
それからは、一度も会っていない。


ごく最近、友達の実家にふらりと帰ってきて
友達の子供と遊んでいたと聞いた。
少しだけ、ほっとした自分がいた。


あの日、何か言葉をかけていたら
彼は美容師になっていたのだろうか。


美容師になった彼をみてみたかった。



あの日に帰れたら

いつか、私の髪を切って欲しいと言いたいな。